使い続けるということ 「三条鍛冶 進光握り鋏」

ものづくりの町と言われる三条の、伝統ある鍛冶の技を今に残し、作り続けられている握りばさみがあります。
素材となる軟鉄と鋼を火に入れ叩いて形づくる火造りの工程から仕上げまで、全てひとりの職人さんが行っています。50年以上にもなるという熟練の技から生まれるその切れ味や使い心地は本当に素晴らしいものです。

「三条鍛冶 進光握り鋏」

一生ものと呼べる鋏ではありますが、日々使っていく間には、切れ味が鈍ったり、噛み合わせが狂ったりということが出てきます。そんなときには、どうぞ店頭にお持ちください。研ぎ直しや噛み合わせの調整など承っています。

実際今までにそういったご依頼は何度も頂いていたのですが、先日、刃先の欠けてしまった鋏をお持ちになったお客様がいらっしゃいました。うっかり落としてしまったとのことで、片方の刃先が5mm弱ほど欠けていました。
以前にも何度か研ぎ直しを頂いていたお客様で、とても使い込まれた感のある鋏です。大切に使われていたのだと思います。「もし可能であれば、短くなってもかまわないので直してほしい」というご希望でしたので、お預かりさせて頂きました。

もしかしたら修理は難しいのかも・・・と思いつつ職人さんへ連絡してみると、「直せる。」という頼もしい一言！
さっそくその鋏を持って行くと、すぐに直してくださいました。
欠けたほうの刃の長さと揃えるため、５mm程度、刃先が短くなってしまいましたが、きれいに磨かれ、噛み合わせも整えられ、刃先だけ見ると真新しい鋏のようです。切れ味も新品同様、問題なく使用できます。
きれいに仕上がったその姿を見た時は、本当に感動しました！
そして、少しだけ刃の短くなったその鋏は、また無事にお客様の元へ戻りました。

身近にこんなに頼もしい職人さんの存在があるという安心感を改めて感じた出来事でした。
ひとつのものを大事に使い続けたいと思う人と、それに応えてくれる人がいるならば、販売店という立場の私達は、できる限りそれを繋いでいきたいと思っています。





お客様よりお預かりした握り鋏。大切に使い込まれた様子がみられます。
修理前の刃先。右の刃が欠けていました。
修理後の刃先。




握り鋏を製作する外山進光鋏製作所の外山さん。全国的にも少なくなってしまった火造り和鋏職人のひとりです。




三条鍛冶　進光握り鋏
長鋏（約145mm）￥4,100　麻ケース付￥4,600 （税別）
短鋏（約110mm）￥3,400　麻ケース付￥3,800 （税別）
ともに和紙化粧箱入り

＊通信販売も承ります。
メールにてお問合せください。
room@cloverstudio.co.jp